Yuzu's Discography
『嗚呼。青春の日々』・
寺岡呼人による曲解説!
1 『嗚呼、青春の日々』
メンバーは
ドラム 佐野康夫
ベース 美久月千晴
ギター 藤井謙二
キーボード 中西康晴
ストリングス 阿部雅士
彼らとは知り合って、もう3年は経っている。
デビュー盤『ゆずの素』の時、スタジオは勿論、ちゃんとしたレコーディングも初めての体験だった彼らを見ていて、まず最初に思ったのが「レコーディングは何て楽しいんだ!」っていう印象だけでレコーディングを終わらせたい、ということだった。特に彼らみたいに2人だけで、しかもフォークギターだけでやってきた人達にとって、レコーディングは最高のパフォーマンスの場所にもなり得るし、最悪のアレルギーの場所にもなってしまうのだ。
最悪のアレルギーの場所とは、「オレ達の音はこんなんじゃない!」とか「ホントはもっといいパフォーマンスができるのに!」といったジレンマに陥り、あっという間にレコーディング恐怖症になり、それまで掴んでいた自分たちの個性まで潰れてしまう、そんな場にも簡単になってしまう場所のことだ。
『舞台恐怖症』の事を『ステージフライト』というが、まさに『レコーディングフライト』だ。
レコーディングでは通常「クリック」という、テンポを合わせるメトロノームみたいなものを使う。
それに合わせてミュージシャンは演奏するのだが、これをいきなり路上からやってきた2人が合わせるのは到底無理だし、うまくいかないと自身喪失にもなり得る。だから『ゆず一家』の頃までは「クリック」を使わないでレコーディングする方法をしばしば使った。ただ、この方法は2人が同時に歌と演奏を一緒にやるので、どちらかが間違えたら最初からやり直し。例え最高の歌を歌っても最後のコードを間違えたら、最初からやり直し、という事になる。だからこの方法は上手くいけば、最高のパフォーマンスを収録できるが、かなりの緊張感を伴うのだ。
そんな中でも、とにかく「レコーディングは楽しい!」という印象を薄れないように、ボクは気をつけながら毎セッションに臨んだ。そしてもう一つ気をつけたのが、「隙間」である。基本アレンジなどはボクが考えるが、いつも「隙間」を作って彼が入ってきて意見やアイデアをディスカッションできる雰囲気作りに気をつけた。それにはやがて彼らがもっとサウンドに関して貪欲に吸収して、“自分のモノ”にして行って欲しいという思いもあったからだ。
それでも、『ゆずえん』の頃までは「僕らアレンジのことなんてわかりません、お任せで〜す」みたいな感じはあった。
随分と前置きが長くなったが、それはこの『嗚呼、青春の日々』がボクとゆずの本当の意味での“共同プロデュース”作品としてのデビュー盤になった気がしたからだ。2000年になって、最初のレコーディングセッション、その前のプリプロ(前準備)段階から2人の意気込みは違っていた。
特に北川君は、自分でコンピューターや音楽機材を買い込んで、オフの間もずっと自宅録音に励んでいたそうだ。岩沢君も4日で10曲以上も曲を書いたらしく、今の2人の創作の勢いを止められるのは誰もいないだろうな、と思わずにはいられなかった。
この『嗚呼、青春の日々』は特に北川君の中で、ビジョンが明確にできてたみたいで、ある意味ボクは彼のビジョンに沿ってコンピューターを駆使して補助したに過ぎない。岩沢君もかなり意欲的に(彼はどっちかっていうと「お好きにどぉ〜ぞ」ってタイプ)意見をぶつけてきた。
僕らは今彼らの本能の赴くままに進んで行く様(さま)についていくしかないのかもしれない。
2 『人生芸無』
この曲はたまたまプライベートスタジオに遊びに来てたマイラバの藤井謙二に軽くギターを入れてもらったら「いいじゃん!」ってアレンジが固まった。コンセプトはチャックベリー。ロックンロールの神様だ。最近彼らはバンド“オリオン”を使ってプリプロ前にアレンジしてきたりするので、ちょっと難しいんだけど(笑)、なんとか越えたかな?
3 『ぼんやり光の城』
もう岩沢君の独壇場。真骨頂!
彼の場面の飛び方や、情景描写が大好きなボクとしては、言うことなしの名曲だと思う。
因みにプライベートスタジオでこの曲を聴いた藤井謙二は「コレもシングルにしようや!」と叫んでいた(笑)。