『アイラブユー』ライナーノーツ


 時代は過ぎた。最新型の楽器は、アコースティック・ギターからターン・テーブルへと変わった。だけど、僕にはまだ自由へと走るバイクが見える。
上昇を続けるギターの音が聞こえる。変わらない言葉がある。寺岡呼人が4月24日にリリースするマキシ・シングル「アイラブユー」は、寺岡呼人&Golden Circle of Friends名義になっている。彼主催のイベント“Golden Circle”に出演したゆず、Snappers、BUNGEE JUMP FESTIVALの町田直隆が参加しているからだ。彼らは4月5日に初期衝動に満ちた「OVER THE FUTURE!」をリリース。
そのR&Rからヒップホップの前身、ポエトリー・リーディング風の楽曲へ。それぞれが歌うのは、21世紀になっても変わらない気持ちだ。同イベントに登場、本作に特別参加した友部正人が最後に歌う。それは楽器さ。みんな手に楽器を持っているのさと。

 友よ。変わらない道、愛の道を歩け。C/W「光〜first light〜」で寺岡は歌う。その先には、眩しいほどの光が訪れるはずだと。5月22日、寺岡呼人は「アイラブユー」を含む、2年3ヶ月ぶりのアルバムをリリースする。タイトルは「COSMOS」。眩しいほどの光の輪が作る、僕たちの新しい宇宙。




 そのとき、寺岡呼人は濃いまゆ毛をますます膨張させて、至福の笑顔を浮かべ、歌っていた。2月16日、渋谷ON AIR EASTで行なわれた彼が主催するイベント“GOLDEN CIRCLE”のステージ上でのことだ。 ミュージシャンとして、プロデューサーとして、充実した活動を続ける中、その過程で出会った才能とさらなるコラボレーションを試みたのが、今回で3回目を数えるこのイベントである。
彼の人徳としか言いようのない豪華な出演陣、既成のイベントでは実現しづらい細やかな神経の行き届いた彼ならではの演出、何よりも、寺岡呼人自身が楽しみ、笑い、酔える空間がそこにショーとして成立していることの素晴らしさ。だからこそ、ゆずのファンがじっと友部正人の歌に耳を傾けるという“奇跡”が、ここでは当たり前のように実現してしまうのだ。

 とかく数字で語られがちな現在の音楽シーンにおいて、自分の好きな、信じることのできる音楽を、これほどストレートに、そして積極的に、私たちの前に提示してくれる音楽家は少ない。寺岡呼人は、思いを込めたプレゼントを渡すようにドキドキと音楽を提供し、観客は、箱にかかったリボンをほどくときのようにワクワクと、彼と彼の愛する音楽に触れることができる。この純粋な構図が、音楽のもっともあるべき姿だと私は思う。
 そこでの居心地の良さに味をしめたかのように“GOLDEN CIRCLE”の常連となりつつある、ゆず、スナッパーズ、町田直隆(BUNGEE JUMP FESTIVAL)が、寺岡呼人の4月5日リリースのシングル、「OVER THE FUTURE!」に参加している。もちろん旗をあげたのはかの名プロデューサーであるに違いないが、若き声たちと競うように、あるときは溶け込むように歌っている彼が、とても新鮮である。
もともとは、イベント会場でプライベート盤として、たった300枚だけ販売された音源であったが、多くのリクエストに応え、TOWER RECORDSのみ初回限定発売されることになった。嬉しいニュースである。
 立て続けに、4月24日は“Golden Circle of Friends”(こちらは友部正人も参加)による2枚目のシングル「アイラブユー」を、そして5月22日にはオリジナル・フルアルバムのリリースも決定しているという。

 今ごろ彼は最後の仕上げに取り掛かっていることだろう。また、新しいリボンをほどく瞬間がやってくる。