徒然道草
其の拾壱
徒然道草バックナンバー
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其の拾
○月×日
指先
指先って不思議だよ。
言葉がなくても、表情がわかんなくてもすべてが伝わる。
まるで、そこに体のすべて、思考のすべて、人格のすべてが、集約されてるみたい。
ほんの少しの力加減、ほんの少しの緊張で、指先はどんな名俳優よりも表情を変える。
指先って不思議。
○月×日
idea
君がくだらないアイデアを思いついた時。
思いもよらないアイデアを思いついた時。
吹き出してしまいそうなアイデアを思いついた時。
いたずらっ子の顔の君。呆れてる僕。
思わず力が抜けて、思わず堅い表情が緩んで、思わず抱きしめたくなるよ。
ねぇ、いつまでもそのくだらないアイデアを僕の為に思いついてくれる?
○月×日
はなはだしい夜
はなはだしい勘違いの夜。お月様が笑ってる。
缶ビールの蓋を舌を切らないようにずっと舐めながら、ベランダに座って街をみていた。
泡は少しずつ、音を立てながら消えてゆき、はなはだしい僕の、はなはだしい行動を、一気に飲み干してみる。
一口で酔っぱらうくせに、がんばって喉に流し込んだ。
ちっとも美味しいとは思わないのに、ゲップと一緒に鼻に突き上げる苦みに、少し可笑しくなってしまった。
はなはだしい街のざわめきは真夜中もやまず。
はなはだしい肌寒さは薄着の僕をしめつけ。
はなはだしい後悔の念が時折襲ってきて。
はなはだしい鼓動のリズムが胸をノックして。
はなはだしい僕の不器用さを攻める力もなく。
はなはだしい僕の弱さを残して。
お月様は夜明けへ帰り支度を始めた。
○月×日
無垢の木
みっともない姿をさらせる君は素敵だよ。
僕なんかより、よっぽど人間っぽいじゃん。
きっと、これからもっと他人に優しくなれるはずさ。
みっともない事って生まれた時は誰も意識せずしていたはずなのに。
“無垢”のまんまで人は大人にはなれないんだね。
それでも、“格好悪さ”や“みっともなさ”を出せるって事は“生きてる”事を実感してるんだもんね。
僕等はそうした“無垢”の木の皮をどんどん腐らせて生きているのかもしれない。
だから君のように素直になれれたら、木は美しさを保てるはず。
みっともない姿をさらせる君は素敵だよ。
○月×日
「Fool to cry」
いつも調子に乗りすぎて失敗ばかりする僕。
余計な事を言ってしまったり、傷つけてしまったり。
疲れてしまったり、後悔したり。
気になってしょうがなかったり、動悸が激しくなったり。
そんなお調子者の僕を君がそっと包んでくれるたびに。
「泣くなんてお馬鹿さんね」って君が言うたびに。
迷子の僕は帰る場所を見つけるんだ。
自分の居場所を見つけるんだ。
○月×日
強くなんてなんなくていいんだよ
強くなんてなんなくていいんだよ。
大きな波にのまれて漂う一粒の砂のように。
波に逆らうんじゃなくて、波の一部になればいいんだよ。
そうすれば、一粒の砂でしかなかった君が大波の力を取り込む事ができるんだ。
強くなんてなんなくていいんだよ。
○月×日
KID
いつも先回りをして、物陰に隠れて、ニヤニヤしながら、ドキドキしながら。
君がどうしたらビックリするかな?とか、どうしたら喜ぶだろう?とか。
もしかしたら機嫌を悪くしちゃうかな?とか、驚かせる前に君に見つかって「バ〜カ」って言われるかも、とか。
いつも、いつも、そんな事ばっか考えてるガキみたいな僕なのです。
○月×日
「時」という薬
美味しいモノをたくさん食べて満腹になったとしても、次の日には空腹になるように。
どんなに苦しくても5日間、ものを食べないではいられないように。
“幸せ”という満腹感も、いつかは空腹になるらしいんだ。
「どんな風に形を変えてゆけば、ずっと満腹感に浸れるのか」
そんな努力が“幸せ”には必要らしいんだ。
雨の日が1カ月も続くことがないように。
夜が必ず明けるように。
“悲しみ”が同じ強さを持って人の中に住み続ける事はできないらしいんだ。
それが神様の罰なのか、プレゼントなのかわからないけど。
僕等はそういう本能を授かって生まれてきたらしいんだ。
○月×日
同床異夢
どんなに愛し合っていても、抱き合って眠っても、僕等は同じ夢を見ることはできない。
君の夢の中には僕は入ってゆけない。
どんなに母親に愛されて、優しく抱かれた子供でも、親子で同じ夢を見ることはできない。
子供の夢の中には母親は入ってゆけない。
どんな絆で結ばれた友人でも、誓いを立てた同志でも、お互い同じ夢をみることはできない。
友達の夢の中には入ってゆけない。
一人ぼっちの集まりが人間なのかも。
一人ぼっちが寄り添うのが愛なのかも。
一人ぼっちが群れるのが友情のなのかも。
○月×日
Dylan's 116's deram
正座じゃなくって、ダラダラと寝ころんで。
正装じゃなっくて、普段着で。
整髪もせずに、寝癖のまんまで。
顔も剃らずに、髭面のまんまで。
背伸びもしないで、ありのまんまに。
そんな風に音楽がそばにいて欲しいな。
○月×日
東京〜第三京浜にて〜
18才の頃、中央高速、調布あたりから見えた新宿のビル群。
とても刺激的で、とても巨大に見えた東京。僕の居場所なんて何処にもなかった。
遙か向こうに見える都会は薄気味悪くそびえ立っていた。
25才の頃、東名高速道路、用賀あたりから見えた東京タワー。
東京は随分と身近な存在になり、自分の居場所も手探りだけど見つかった。
地方に行っても、どこも同じような風景、開発、無個性...。
東京の方がきらびやかだけど、何処か懐かしい感じのする、そんな街に思えてきた。
そして、今僕は第三京浜を走っている。
あれから10年以上も経っているのに、夜の都会は同じ顔をしてそこにいる。
昼間見たらもっと変わってるんだろうけど、恵比寿のビルや都庁はできたけど、印象は変わらない。
変わったようで変わってない景色、変わったようで変わってない僕。
変わってないようで変わった東京、変わってないようで変わった僕。
もうすぐ、玉川料金所。
○月×日
センターポイント
やじろべぇのように、生活が何かを中心にバランスを取っているとしたなら。
それを支える中心が何であるかで、人生は随分と違ったものになるはず。
大空を飛ぶ鳥たちはバランスの取り方を本能的に知っていて、あんなに高く飛べるんじゃないかな?
僕はそのバランスだけには揺るぎない自信があるんだ。
そうやって昔からここまで飛んできたんだ。
○月×日
気になる
気になる事がいっぱい。
男の子も女の子も、子供もおじいちゃん、おばあちゃんも、いつも気になってばっかり。
起きても、寝癖が気になる。出かけるときに洋服のコーディネートが気になる。
学校に行ってもあの娘の事が気になる。会社に行っても上司の事が気になる。
太ってきて気になる。運動不足が気になる。年齢が気になる。将来が気になる。
気になる、気になる、気になる..........。
気になる事がいっぱい。
じゃ、気になる事がなくなれば僕等は幸せなんだろうか?
気になるから“人”なんじゃないだろうか?
その答えが僕にわかるハズもないけど、そんな気がする。それが今“気になる”。
○月×日
徒然道草
徒然なるままに、一筆書きのように記す日記。
目の前に半紙を置かれ、何も考えず、一度筆を落としたらそのまんま一気に書き上げる。
全ての創造って、こんな風にして創りあげなければいけない“真理”のような気がする。
○月×日
Someday
君が家族の事や友達の事、仕事の事を楽しそうに僕に話してくれるように。
いつか、そんな風に僕の事を誰かに話して欲しいな。
君が好きな映画、本、音楽、夢の話を楽しそうに僕にしてくれるように。
いつか、そんな風に僕の事を誰かに話して欲しいな。
君は誰にも言えない痛みを抱えたり、哀しんだり、弱さを僕には見せてくれないけど。
いつか、全部をさらけ出して、僕に見せて欲しいな。真夜中に起こして欲しいな。
僕が知らない何十年分の君が、目の前で楽しそうに何か話してる。
いつか、この先の何十年分の中に僕が入り込んで、君のその微笑みの一部になれたらいいな。
○月×日
檸檬
梶井基次郎だっけ?『檸檬』書いたの。
「桜の木の下には死体が埋まっている」だっけ?そんな詩書いたんだよね。
あの美しさは人の魂を吸わなければ出ないらしい。
宇宙から見たら、「あの人間の美しさは地球の魂を吸ってるに違いない」って思えるんだろうか?
○月×日
春のように
春のように暖かくなりたい。
春のようにカラッとしたい。
春のように素直になりたい。
春のように刹那でいたい。
春のように思わせぶりたい。
春のように鮮やかでいたい。
春のようにスマートでいたい。
春のように優雅でいたい。
春のように人を幸せにしたい。
僕はいつになったら、春のように気まぐれになれるんだろ。
○月×日
Lost weekend
ジョンレノン、君は強いよ。
「失われた週末」に君はニルソンやキースムーンなんかとバカ騒ぎしてたんだろう?
寂しさに打ちひしがれて、『Rock'n Roll』という名作を創ったんだろう?
僕は失われたこの週末を、騒ぐ勇気さえ持てずにいるんだから...。